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日々の事
by de_hond
自慢のおじいちゃん
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青十郎を生んで、赤ちゃんと老人は本当に全く逆方向の生き方を同じようにしていると思う。

赤ちゃんは最初は寝たきり、目もほとんど見えず、液体しか栄養が取れない。排泄も自ら処理できず、言葉も発せられない。ただ小さく、ただエネルギーに満ちあふれ、かわいい。かわいくないと面倒が嫌になってしまうくらい、手がかかる。人間の赤ちゃんはもう一年くらいお腹にいた方がいいくらいの弱さで産まれてくる。

老人は、どんどん歩けなくなって、耳も遠くなり、目も悪くなり、排泄もできなくなってくる。そのうち物覚えも悪くなったり。体はやせ細っていき、固形物を食べられなくなってくる。歯も毛も抜けていく。彼らがいるから自分が存在するし、お世話になったし、大好きだから面倒がみれるのだろうか?
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青十郎もおじいちゃんもお風呂で極楽じゃ〜い!という表情をする。
人生で初めて、死んでしまった人の体に触れた。冬の雪の中で人の顔に触れる様な冷たさが、全身を覆っていた。何をしても、もう自ら動き出す事は無い。しゃべったりしない。あれだけいつもニヤニヤっと笑ったり、おっきな声で言いたい事をズバッと言ってたあのじいちゃんが、全く動かないのだ。私の白目の真似もしない。実家の犬に向かって『ほいほいほーい、駄犬!』と言ったりもしない。この世界から、そのリアルな存在はパッと消えてしまい、それが入っていた抜け殻だけ残った。しかし、今じゃその殻も灰になった。

すっごく、どうしようもなく悲しいくせに、私の心の奥底は、とても穏やかだった。

あーそうか〜。
みんなが赤ちゃんだったように、
みんないつかは死ぬんだよね〜。

どーんな嫌みなおじさんでも可愛い赤ちゃんだったし、
どーんなやかましいおばちゃんでもいつか死んでいく。

わかっていたのに、実際に自分にとても身近な人がなくなり、その亡がらを見て触ることができると、とても実感できる。私はオランダにいたときに、父方の祖父祖母おじさんを亡くしたが、誰もの死に目にも亡がらにも葬式にも出れず、未だに人が死ぬということをよくわかっていなかった。もっと特別なことだと思っていた。

でも、死ぬって言うのはとても日常的なものである感じがした。毎日がある中で、パッと死がやってくる。突然でもそれは当たり前の事で、逃げようがないもの。受け止めるしかない。産まれてきた以上。

自分もいつか死ぬ。明日かもしれないし、あと50年後くらいかもしれない。
私の葬儀は誰があげて、誰が来てくれるのだろうか?
旦那さんより私は先に死ぬのだろうか。

この日々がいつかパッとなくなってしまうと思うだけで、とても怖くて涙がでる。
でもそれはやがて必ずやってくる。
自分の死はやはり恐ろしい。

人の死も、嫌だ。
でも、嫌と言ってもしょうがない。
から、いつも大切の人がなくなるとその人が自分の中で生きはじめ、自分がパワーアップしたように感じる。

初めて旦那さんをおじいちゃんに紹介したときに
『さえは一生独身で、ずっと変なやりたいことやって面白く生きていくと思ってたんだけどな〜』
と言われた事をおじいちゃんが死んで、三日目とかの夜に思い出し、悔しくていっぱい泣いた。朝、顔が腫れすぎていた。悲しいとかは全くなく、ただすっごく悔しかった。私は結婚したって子供産んだって、絶対ずーっと変でいてやるんだから!って。。。そんな意地もおかしな話だが、その姿をあと20年くらいは見ててほしかった。
私の旦那さんにその話をすると。
『あ〜その時、おじいちゃんまだまださえちゃんに、はっぱかけるんだなーって嬉しかった』
と言った。
あ!!
やられた。
私が意地を張るとわかってあんな事を言っていたのか。さすが社長なだけあった。
80歳で亡くなった我がじいちゃんは現役の社長だった。
毎年のように入院してても、仕事して、病気と友達のように戦った。退院日は自分で決めて、交渉する。入院を拒否したりもしていた。
医者泣かせの勤勉さに、孫にどじな看護婦さんを教えてくれるようにユニークなじいちゃんだった。
おじいちゃんのパソコンのまわりからはいっぱい注射されてるおじいちゃんや、手術の跡や、内臓や、パンツいっちょのやせた全身の姿の写真がでてきた。それらはいつも手帳にはさまっていた。だから私もこんな写真を撮ってあげた。そして、おじいちゃんのために書いていたこのブログにそれを載せる。
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ちなみに灰から出てきた針金の筒を私はわがままをいい、もらった。心臓に入っていた人工の血管らしい。それをハンカチに包み、ポケットにいれた。じいちゃんが横でニヤッて笑った。


私はこれから「圭ま吾新聞」という祖父藤村圭吾氏についてばかりを綴った新聞を発刊していくことに決めた。お葬式で、まずは第一号を発刊し、400枚の新聞がすべて売れた(ただだよ)。
第二号は49日にて出す予定。
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負けないぜー!圭吾opa!
みておれ〜〜〜〜!
by de_hond | 2011-11-14 23:33 | family
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